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Special Interview/アラキニット【 後編 】

インタビュー 後編はアラキニットさんの工場へ。
古い機械がゆっくりと丁寧に生地を編む、オーセンティックな世界を覗かせていただきました。
肌に溶け込むような柔らかさと、着ていることを感じさせない軽やかさ。
ランジェリークがこよなく愛する質感を、新コレクション「ETHOS」の生地で叶えてくれたのは、
奈良県葛城市にある老舗ニットメーカー、アラキニットの荒木政克さん。
インタビューの後半はアラキニットの工場で、オーセンティックなものづくりを見学させていただきました。
こちらは、ランジェリークのインナーウエアや下着の生地を編んでいる機械。
今は廃業してしまった老舗の有名ニッターさんから譲り受けた、30年以上の年代物です。
荒木
不思議なご縁で、僕らが尊敬する歴史あるニッターさんから古い編み機を引き継がせてもらえることになって。
うち(アラキニット)も父の代から50年以上続いているのですが、そちらはもっと古く、70年以上の歴史がある大阪の「北畑メリヤス」というニッターさん。
とても古い機械なので、職人さんに何度も頼み込んで使い方をしっかり教えていただきました。
今後自分たちの編み方で編んでいくにしても、オリジナルの編み方はやっぱり覚えておきたいと思って。
実際に機械を動かしていただきました。
銅の素材でできたヴィンテージの編み機の回転は、現代の大量生産型の編み機に比べてとてもゆっくり。
糸を長く張り巡らしながら、大きく優雅に回転します。
荒木
高速で編まれたニットと比べて、ゆっくり編まれたニットはまったく風合いが違います。
機械で編んだマフラーより、手編みのマフラーの方がふんわり仕上がるみたいにね。
これも古い機械だけど、良い意味ですごく合理的に動くし、カラクリ人形の様にどういう仕組みになっているかがとても分かりやすい。
糸がどう入って、針がどう動いて、というのがよくわかるから、調整もしやすいし、使っていても飽きがこないんです。
時代には逆らっているかもしれないけれど、こういう機械じゃなければ表現できないこだわりや個性が絶対にあると思うんですよ。
広い工場の中に所狭しと並ぶ多種多様な編み機。
もともとアラキニットさんが所有している編み機に加え、数年前に廃業された老舗のニッター「北畑メリヤス」さんから受け継いだ編み機もたくさん並んで現役で動いています。
荒木
まだまだ、倉庫に控えている古い編み機がたくさんありますよ。
リペアが必要な時に使えるように、部品も保存しているんです。
古い機械のパーツはもう買うことができませんからね。
解体も、組み立ても、修理も、カスタムも。
必要に駆られて自分でできるようになったという荒木さん。
昔の機械に今のパーツを取り付けてバージョンアップさせた機械もありました。
昭和から令和まで、人の感性と機械の技術の蓄積が感じられます。
荒木
新しい機械にももちろん良いところはありますよね。
でも、やっぱり僕はどちらかというと古い機械にこだわってしまう。
手間がかかるし、他所の工場がもうやめておこうって言うのをかき集めて、その中で生きるものを復活させたいんですよ。
僕は子供の時から、みんなが右に行ったら左に行きたがるタイプだから(笑)。
楽をしたり同じことをやったりするのが好きじゃないし、時間がかかっても商売にならなくても、挑戦して経験することが大事だと思うんです。
僕らは技術で勝負する仕事をしているから。
古い機械を大切に使い技術を守りながら、常に新しい生地づくりに挑戦し続ける荒木さん。
ノスタルジックな温かさと新鮮なエネルギーが同時に溢れる工場で、
感性に寄り添うような特別な生地が編まれていました。
この生地から新たに生まれたのが、ETHOSの下着とインナーウエア。
その柔らかさと軽やかさを、ぜひ皆様の日常の中でお楽しみください。
EDIT&WRITING 二井 万葉子 @m_onde
*ETHOS発売日:2025年9月中旬予定。
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